
箱根駅伝の区間賞は、その大会の担当区間で1位になった選手への表彰です。中継所へ先頭で来た選手や、歴代最高タイムを出した選手という意味とは、少し違います。
チームが後方にいても、一人の走りが区間賞につながることがあります。賞の決まり方を押さえたうえで、柏原竜二選手や榎木和貴選手の4年連続受賞をたどると、一度の快走と、毎年結果を残す難しさを別の角度から楽しめます。
区間賞は「その大会、その区間の1位」

箱根駅伝には、大学全体の総合順位と、各選手が担当区間を走った成績があります。区間賞で見るのは後者です。第102回・2026年の大会要項の表彰規定は、区間1位の競技者に賞状とトロフィーを授与すると定めています。
| 言葉 | 比較する対象 |
|---|---|
| 区間賞 | 同じ大会・同じ区間の選手の成績 |
| 区間新記録 | その区間の従来の最高記録との比較 |
| 総合順位 | 大学の往路・復路を合わせた成績 |
この三つを分けると、区間賞を取っても総合優勝には届かなかったり、区間新記録ではなくても区間賞になったりする理由が分かります。
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先頭でたすきを渡した選手とは限らない

2区以降は、前の区間から受け継いだチームの差があります。最初から先頭でたすきを受けた選手と、数分後ろで受けた選手が、同じ時刻に出発したわけではありません。区間賞はその区間を走った時間で決まり、画面上の通過順だけでは分かりません。
仕組みを考える例として、A選手がB選手より2分早く出発し、A選手が1時間05分、B選手が1時間04分で走ったとします。この二人なら、先に到着するのはA選手ですが、区間タイムが速いのはB選手です。実在する大会結果ではなく、出発差と走行時間を分けるための例です。
中継所で先頭のたすき渡しが終わっても、後ろの走者の区間タイムに注目する余地があります。先頭争いとは別に進む個人の勝負を知ると、映像に映る大学の順位だけで走りを評価しなくなります。
2026年3区は区間賞でも区間新記録ではない
中央大学の第102回大会成績では、本間颯選手が3区1時間00分08秒で区間賞を獲得しています。一方、日本テレビの第102回までの大会記録にある3区の最高タイムは、2020年のイェゴン・ヴィンセント選手による59分25秒です。
二つの時計の差は43秒。2026年の区間賞は、その大会の3区で最も速かったという結果で、歴代最高の更新が受賞条件なのではありません。以前の記録より遅くても、その年の同区間で1位なら区間賞になります。
さらに中央大学の2026年の総合順位は5位でした。3区の1位と大学の5位を並べると、個人の表彰とチームの成績の違いが一つの実例で分かります。優勝校の選手だけに区間賞が与えられるわけではないのです。
関東学生連合と途中棄権後の記録
第102回大会では、関東学生連合チームはオープン参加で、チーム・個人ともに参考記録とされました。区間タイムが速いことと、正式な区間順位・区間賞の対象になることは分けて確認します。
また、競技実施要項では、途中棄権したチームが次の区間から再スタートする場合、その後はオープン参加となり区間成績を認めないとしています。棄権より前の区間までの記録とは扱いが異なります。
これは繰り上げスタートと同じ意味ではありません。中継で「オープン参加」「参考記録」と紹介された場合は、その理由と対象区間を確かめると、タイムが表示されていても通常の順位欄に入らない理由を理解できます。正式な受賞者は、大会の公式成績・表彰で確認します。
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4年連続区間賞は、毎年1位を重ねた実績

一度の区間新記録と、複数年続けて区間賞を取ることは、違う見方のできる達成です。前者はある大会で出した最高タイム、後者は各年の同区間の競争で1位を重ねた実績になります。ここでは大学の公式資料に記載された柏原竜二選手と榎木和貴選手を紹介します。
柏原竜二は4年続けて5区の区間賞

東洋大学の酒井監督・柏原竜二さんの対談は、第85回での活躍と、その後を含む4年連続5区区間賞を紹介しています。対象は2009〜2012年、大学在学中の四つの大会です。
毎年5区を任され、そのたびに区間1位になる。ここで追うのは一つの最速タイムだけでなく、各大会に残された四つの順位です。コースの条件が異なる時代のタイムを、現在の5区の時計とそのまま並べなくても、連続受賞という実績の意味は読み取れます。
対談では、チームが第87回で敗れ、翌年再び総合優勝したことにも触れています。柏原選手の区間賞が続いていても、東洋大学が四大会すべてで総合優勝したわけではありません。個人の連続受賞とチームの連覇を別々に数えると、同じ四年間の違う面が見えます。
榎木和貴も中央大学で4年連続受賞
創価大学が2019年に掲載した榎木和貴監督の紹介には、中央大学時代に4年連続区間賞を獲得したとあります。3年次の第72回では、中央大学の32年ぶり14回目の総合優勝に貢献したことも紹介されています。
榎木さんを監督として知った方には、選手時代の実績へさかのぼる入口になります。紹介記事を掲載したのは創価大学ですが、ここでの4年連続区間賞は中央大学の選手だった時代の成績です。現在の肩書と受賞当時の所属を分けると、大学名を取り違えません。
私が4年連続の区間賞に惹かれるのは、最高タイム一つだけでは見えない、毎年の順位が残っているからです。
一度の記録が長く残る選手もいれば、毎年の競争で区間1位を積み重ねた選手もいます。次に選手紹介で「連続区間賞」という言葉を聞いたら、何年の、どの大学での実績なのかまでたどると、名前に結び付く大会の幅が広がります。
区間賞についてよくある質問
区間新記録を出さないと区間賞になりませんか?
歴代最高の更新は条件ではありません。その大会の区間1位が区間賞です。2026年3区の本間颯選手の例が当てはまります。
総合優勝した大学だけが区間賞を取れますか?
大学の総合順位とは別です。2026年の中央大学は総合5位ですが、本間颯選手が3区で区間賞を獲得しました。
柏原竜二選手は4年連続で区間賞ですか?
東洋大学の公式紹介は4年連続5区区間賞としています。2009〜2012年の実績で、チームが4連覇したという意味ではありません。
区間賞と金栗杯は同じ賞ですか?
別の表彰です。第102回要項では区間1位への賞状・トロフィーと、最優秀選手への金栗四三杯を分けています。
まとめ|通過順の先にある個人の勝負も楽しむ
区間賞は、その大会の区間1位への表彰です。先頭通過、区間新記録、大学の総合順位はそれぞれ別の指標で、参考記録についても対象大会の扱いを確認します。
中継所の先頭争いを見た後に、各走者の区間タイムを見る。過去を振り返るなら、一度の最高記録に加えて、毎年の区間順位もたどる。二つの見方を足すことで、優勝校や記録保持者の名前だけでは見えてこなかった選手の働きを楽しめます。
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