箱根駅伝の金栗杯とは?初代受賞者と歴代選手の活躍をたどる

一般的なカップを持つ顔の描き込みのない匿名走者と応援のシルエット。賞を象徴するイラストで文字・署名・透かしなし。

箱根駅伝の金栗杯は、大会の最優秀選手に贈られる「金栗四三杯」です。2004年の第80回から始まり、初代受賞者は日本学連選抜で走った筑波大学の鐘ヶ江幸治でした。

優勝校の名前だけを追っていると、見落としてしまう走りもあります。金栗杯の受賞者をたどると、選抜チームの選手や、往路・復路のさまざまな区間に目が向きます。賞の始まりと主な受賞例から、記録の楽しみ方を整理します。

金栗四三杯の意味と2004年の初代受賞者

図解:金栗四三杯の意味と2004年の初代受賞者

金栗杯は、区間ごとに一人ずつ決まる区間賞とは異なり、大会全体の最優秀選手をたたえる賞です。名前の由来と最初の受賞者を知ると、現在の大会ニュースに出てくる賞の位置づけが分かります。

金栗四三の名を冠した賞とカップの由来

和水町の広報なごみ2017年2月号は、町が2003年に関東学連へ申し出たことをきっかけに、第80回から金栗四三杯の贈呈が始まったと説明しています。金栗四三の名前を箱根駅伝の歴史に刻み、町を知ってもらう目的が記されています。

同資料によると、町が寄贈するカップは、金栗が1911年のストックホルム五輪国内予選会で優勝した際のカップを複製したものです。五輪本大会で獲得した優勝杯、という意味ではありません。賞の名称だけでなく、器の由来にも過去の競技とのつながりがあります。

長い歴史を持つ箱根駅伝でも、現在ある表彰がすべて第1回から続いているわけではありません。2004年に始まった賞だと分かれば、それより前の名選手を受賞一覧で探して見つからない理由も理解できます。受賞していないことだけを、走りへの評価が低かった証拠にはできません。

初代は筑波大学の鐘ヶ江幸治、日本学連選抜で出走

初代受賞者は、2004年第80回の鐘ヶ江幸治です。所属大学は筑波大学で、出場したチームは日本学連選抜。5区を走り、区間賞と初回の金栗杯を受賞しました。

筑波大学の年次報告にある学生表彰記録も、日本学連選抜での出場と、区間賞・初回金栗賞の受賞を記載しています。大学名と出場チーム名が違うため、一覧を見るときには両方を残して読むとすっきりします。

私は、最初の受賞者が選抜チームの選手だった点に惹かれます。優勝校の一員だったかという見方だけでは、表彰の歴史の入口を拾えないからです。チームの結果と個人の走りを別々に見る楽しみが、初代の名前から見えてきます。

現在の関東学生連合と、当時の日本学連選抜は名称も大会の制度も同一ではありません。初代の実績は2004年の大会として紹介し、今のオープン参加や参考記録のルールをそのまま当時へ当てはめないようにします。

歴代受賞者から見える金栗杯の楽しみ方

図解:歴代受賞者から見える金栗杯の楽しみ方

受賞者一覧は、名前を暗記するよりも「何区の、どの年の走りか」を一緒に見ると読みやすくなります。ここでは初代に加え、連続受賞、複数人の受賞、近年の例を選んで紹介します。全受賞者の転載ではなく、賞の特徴が分かる主な例です。

大会年 主な受賞者 注目点
2004年 鐘ヶ江幸治 初代・日本学連選抜/筑波大学・5区
2005〜2007年 今井正人(順天堂大学) 3年連続。2007年は佐藤悠基も受賞
2009・2010・2012年 柏原竜二(東洋大学) 計3回。2010年は自己の区間記録を更新
2022年 吉居大和(中央大学)・中村唯翔(青山学院大学) 1区と9区の2人
2023年 イェゴン・ヴィンセント(東京国際大学) 4区で受賞
2024年 山本唯翔(城西大学) 5区で受賞
2025年 野村昭夢(青山学院大学) 6区で受賞
2026年 黒田朝日(青山学院大学) 5区で受賞

受賞時の所属を記しています。初期の受賞歴は和水町の広報、近年までの一覧は月陸Onlineの金栗四三杯受賞者表で確認しました。

必ず一人とは限らない、連続受賞もある

図解:必ず一人とは限らない、連続受賞もある

今井正人は2005年から2007年まで3年連続で受賞しています。一方、柏原竜二の3回は2009年・2010年・2012年です。「3回受賞」という数が同じでも、続けて受賞したのか、間の年を挟んだのかが違います。

2007年には、今井正人と佐藤悠基がともに受賞しました。2022年にも、1区の吉居大和と9区の中村唯翔が選ばれています。金栗杯を毎年必ず一人だけの賞と覚えると、こうした年の一覧を読み違えます。

複数受賞の例で面白いのは、往路の最初と復路の終盤という違う場面が、一つの大会の表彰へ並ぶことです。区間の距離や役割が違うので、タイムの小さい順に並べれば受賞者が決まるというものではありません。大会のどこで記憶に残る走りがあったかを振り返る入口になります。

ただし、記録表だけからその年の選考過程を再現することはできません。選出の理由が公表されている場合はその説明を読み、一覧しかない場合には受賞した年・選手・区間という確認できる事実を楽しむのが自然です。

選ばれた理由を読む例|2010年の柏原竜二

選考理由まで大会公式が説明している例が、2010年の柏原竜二です。当時の公式受賞発表は、5区で自己の区間記録をさらに10秒更新し、1時間17分8秒をマークしたことを評価したと伝えています。

ここでは「区間新記録だった」という結果と、「その走りが受賞に際して評価された」という説明の両方がそろっています。受賞理由を語る際は、こうした当時の発表に沿って読むと、記録と賞の関係が具体的になります。

このタイムは2010年当時の5区の記録です。現在の5区とはコース条件が異なるため、2026年のタイムと数字だけで速さを比べる材料にはしません。一方で、同じ当時の自己記録を10秒縮めたという比較なら、その年に何が更新されたかが分かります。

記録を見るときは、絶対的なタイムだけでなく「何をどれだけ更新したか」も面白いところです。現在の最高記録を追いたい場合は、区間新記録の一覧とコース変更の見方に整理しています。

区間賞・金栗杯・大会MVPは何が違う?

第102回大会の要項では、区間1位への表彰、最優秀選手への金栗四三杯、優勝チームから選ぶ大会MVPがそれぞれ別に記載されています。区間賞は担当区間の成績、金栗杯は大会の最優秀選手、大会MVPは優勝チームからの選出という違いです。

一人の選手に複数の賞が並んでいても、同じ賞の呼び換えとは限りません。反対に、金栗杯の歴代受賞者を優勝校だけで探すと、初代をはじめ表から落ちる選手がいます。受賞名と、その賞が見ている範囲を対応させると、表彰のニュースが読みやすくなります。

賞金・奨学金の対象を調べたい方は、箱根駅伝の賞金・奨学金・副賞の解説へ進めます。受賞の事実と受領した金額は別の確認事項なので、ここでは賞の歴史と選手の走りを中心に見ています。

金栗杯についてよくある質問

金栗杯の正式名称は何ですか?

金栗四三杯です。第102回大会の要項では、最優秀選手に授与すると定めています。

初代受賞者は誰ですか?

2004年・第80回の鐘ヶ江幸治です。筑波大学所属で、日本学連選抜の5区を走りました。

毎年必ず一人だけが受賞しますか?

複数受賞の年もあります。2007年は今井正人と佐藤悠基、2022年は吉居大和と中村唯翔が受賞しています。

金栗杯は大会の最初からあった賞ですか?

2004年の第80回から始まった賞です。それ以前の選手が一覧にいないことを、走りの評価と直結させないようにします。

金栗杯と優勝チームから選ぶMVPは同じですか?

第102回要項では別々の表彰項目です。受賞ニュースでは、賞の名前と対象をそれぞれ確かめると整理できます。

まとめ|金栗杯からチーム順位の外にある走りも見る

金栗四三杯は、2004年第80回から始まった大会最優秀選手への賞です。初代の鐘ヶ江幸治、連続受賞の今井正人、2010年に自己記録を更新した柏原竜二などをたどると、受賞した年と区間を並べる面白さが見えてきます。

次の大会では優勝校や区間賞を追いながら、最後の個人表彰にも注目してみてください。誰が選ばれ、どの走りが紹介されるのか。二日間のレースをもう一度振り返るきっかけになります。

 

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